167回例会|日本穀物科学研究会ホームページ

日本穀物科学研究会
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<第167回例会>
「日清製粉株式会社 東灘工場 工場見学、講演会」
 日時 2016年9月2日(金) 14:00〜16:45
 場所 日清製粉株式会社 東灘工場
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「日清製粉株式会社 東灘工場」
   製粉ライン見学会
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グリアジンの機能解明に向けて 
日清製粉株式会社 つくば穀物科学研究所
木澤恵子氏、野間聡氏、早川克志氏○
1.研究の背景と目的
グリアジンは生地に伸展性を与え、弾力をもたらすグルテニンと共にグルテンを形成し、製パン性に大きく影響を与えている。しかし、グルテニンが分子レベルで解析され、例えば所謂5+10と言われるHMWグルテニンサブユニットが育種の指標として活用されているのに対し、特定のグリアジンの育種への応用は進んでいない。これは、グリアジン分子に多様性があり、しかも多コピーが存在すること、既存の伸展性の評価法が多量の小麦粉を必要とすることによる。そこで、最も分子数が多いα-/β-グリアジンをその構造よりグループ化し、各グループのグリアジンの特徴を明らかにすること、少量での生地伸展性の評価系の構築を本研究の目的とした。

2.方法と結果の概要
小麦ゲノムDNAを鋳型にα-/β-グリアジンを増幅し、DNA配列を調査した。これらのDNAの情報に既知の遺伝子ライブラリー、既報の情報を加え、演繹したアミノ酸配列によりα-/β-グリアジンの系統解析を行ったところ、11グループに分けることができた。各グループに特徴あるアミノ酸をコードするコドンを中心にプライマーを設計し、登熟期の各グループのα-/β-グリアジンの発現解析を行ったところ、11グループ全てで発現がみられたが、各グループごとに特徴的な発現量、発現パターンを示すことが分かった。
 一方、アルベオコンシストグラフで作成した生地をモルダーで伸ばし、一定の厚みにした後、ドーナツ状の生地を作成した。調製した生地をテクスチャーメーターのフックにひっかけ伸展性を評価した。一方で、同様に調製した生地をアルベオグラフにかけAACCI公定法に則り伸展性を測定した。新規に開発した方法で評価した伸展性値は、アルベオグラフのL値と高い相関を示すことが分かった。作成するドーナツ状の生地をできるだけ小さくするために治具を作成し、10gの小麦粉の伸展性値を測定することが可能になった。

3.まとめ
 多種類あるα-/β-グリアジンを発現、構造の特徴から11グループに分類することができた。また、少量の小麦粉から生地の伸展性を評価する方法を確立した。今後、生地物性の改良につながるグリアジンマーカーの設計に向けた研究を進めていきたい。
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 日清製粉株式会社 東灘工場様
 ご協力ありがとうございました。

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