<第166回例会>
「日本穀物科学研究会賞 受賞記念講演会」
 
 日時 2016年5月14日(土) 13:00〜17:00
 場所 神戸女子大学 教育センター
日本穀物科学研究会
わが食品化学研究を振りかえって
東洋食品工業短期大学
森田 尚文 氏
 大学で博士の学位を戴いてから食品化学の研究に到達する迄には更に数年かかり1979年のことであるので其れから退職するまでの丁度30年間が食品に関連した仕事をしたことになり、だいぶ遠回りをした感があるが以下にその研究のタイトルを記してその大要を紹介する。
1.初期の時代での研究概要:B.subtilis FT-3の生産する多糖類の構造
2.各種単糖、多糖のアルカリオルソフェニレンジアミン法により生成するキノキサリンからの糖鎖結合の解明
3.アスコルビン酸、デヒドロアスコルビン酸の酸化還元反応
4.アスコルビン酸、2,3-ジケトグルコン酸のポーラログラフ的挙動
5.製パン性におよぼすアスコルビン酸及びその誘導体の効果
6.バナナの色素、マリーゴールドからのルテインの抽出とそれら誘導体の性質 
7.分級製粉法による大麦粉の代替による小麦粉ドウの粘弾性と製パン性
8.アマランス、キノアの製パンへの利用
9.発芽玄米の機能性と製パン性、クッキーへの利用
10.分級小麦粉の特性と製パン性
11.各種穀類(小麦{ワキシー、ハイアミロース等}、ソバ、キノア)の発芽とその機能性、および加工特性 
13.各種修飾デンプンの調製と製パンへの利用。
14.その他
 以上、種々の穀類および食品素材を用いて、その機能性を意識し、且つ食品の安心・安全を第一に考慮した製パン性、クッキーなどの焼成をおこなった。これらの中には発芽により低アレルゲン化が認められる穀類、また分級粉の中には低アレルゲン化の画分が認められ、納豆、味噌等以外にもこれらの素材の実際応用が望まれる。
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パンとの関わりと食品製造業の生産性倍増
テクノバ株式会社
弘中 泰雅 氏
 この度は瀬口会長を始め穀物科学研究会の皆様方のご推挙を頂き日本穀物科学研究会賞を頂き、又講演の機会を与えて頂きましたことに御礼申し上げます。この機会に自らの歩みを振り返り、又現在考えている事を少し述べさせて頂きたいと思います。

1 パンとの関わり
 大学・大学院では「魚肉蛋白質の冷凍変性の抑制」研究を行い、郷里の製パン企業に就職したが、食品企業の実情をみて改善すべき点が多くあることを痛感しパン製造に関する研究を始めた。現山口県工業技術センターの前研究所会報や、日本食品科学工学会の前身の日本食品工業学会誌に発表した。それらが当会創設者の故松本博先生の目に留まり本会への入会勧めて頂いた。入会して既に40年近くの月日が経った。
 製パンの非効率な生産を改善する為に自動製パンが出来ないかと当時考えていた。パンは工程条件が複雑に絡まっており、自動化する為には製造条件を係数化する必要が有ると考え、実験計画法を使い製造条件と品質との関係を研究した。パンの香りと製造条件との関係を研究している頃、香りの検索と我流のガスクロ分析の手法が正しいか確認したくて、食品工業学会西日本支部大会で後の日本食品化学工学会会長でコーヒーの香り研究されていた九大の筬島先生に質問をしたところ、研究室に来なさいと言う事になり翌週出向いたところ、その場で学位を取りなさいと言われ「パンの品質特性に及ぼす製造条件に関する研究」としてまとめ1988年に九大より学位が授与された。
 松本先生から「田舎に引っ込んでいないで都会に出て来い」と仰って頂き、幾つも会社を紹介して頂いたが電話でお断りしていた。それでは失礼だと思い偶々出向いて断ろうとしたのが船井電機で当時の船井社長から実験室を作ってやると直接口説かれ入社する事になった。今迄は工場自動化を念頭に置き研究していたが、小さな空間でパンを作る世界初の家庭用自動製パン器開発をする事になった。開発過程でこれ迄の研究が大いに役立った。松本先生に尻を叩かれながらY.Hironaka: The History of the First Breadmaker in a One-Cubic -Foot Bakery Plant: Cereal Foods World 45(7), (2000) に当時の製パン器開発はまとめた。
 船井電機では食品研究者として入社したが技術全般に関わるようになり、事業部の技術責任者になり製パン器開発の貢献で社長表彰された。製パン器の最盛期には年間100万台以上の製パン器を輸出して世界シェアの60%以上獲得した。 船井電機ではトヨタ生産方式(TPS)に巡り合い、食品製造業の問題の正体は生産性の低さである事に気付いた。この頃松本先生の勧めでPainに「日本の製パン科学研究はこのままでよいのか」を書いた。無常にも製パン器ビジネスも1$=78.5円とローテク製品の為に無念であるが事業部は解散した。
そこで2000年に会社を起こし食品製造業の生産性向上に取り組むことにした。食品製造業の問題意識を多くの技術誌や業界紙、学会誌などに書いた。生産性向上には経営工学的な知識が必須で日本生産管理学会に入会し、生産性に関わる論文をいくつも書いた。2012年には日本生産管理学会賞を頂いた。現在も日本生産管理学会の理事として食品製造業の生産性をテーマにし頑張っている。

2 食品製造業の現状
 日本の製造業の生産性は勿論先進国クラスだが、食品製造業単独の生産性はギリシャやスロベニア程度で先進国のレベルにはない。食品製造業は2極化しており、高生産性食品製造業は製造業平均よりも高い生産性を示すが、低生産性の加工型食品製造業の生産性は製造業平均の50%の生産性しかないし平均給与も同様である。産業別平均給与は産業別の生産性と相関があり、食品製造業の平均給与を上げるには生産性を向上するしかない。

3 生産性2倍向上への取り組み
 食品製造業の生産性が何故低いか?それは食品製造業が非効率な生産を行っている為に他ならない。すなわちムダが多いことが問題でトヨタの七つのムダ@作り過ぎのムダA手待ちのムダB運搬のムダC加工そのもののムダD在庫のムダE動作のムダF不良を作るムダ、の様にトヨタ生産方式はムダを解消するムダ排除手段である。
 ムダの解消には「問題の見える化」が秘訣である。ところがほとんどの食品工場では問題を見えない様に生産している(事なかれ主義)。問題は顕在化しなければ改善できないので問題顕在化の仕組みが必要である。「あんどん方式」は典型的な問題顕在化の仕組みである。ムダの排除により生産性は向上する。生産性向上には個人完結型作業を止め、作業に流れ・標準化・タクトタイムを定めて何処で滞っているか分る様にする必要が有る。
 作業効率をまず考えるが原材料利用率の影響も大きい、原材料費率が50%だとすると5%の原材料費削減は5%の生産性向上につながる。見えない原材料ロスも無視できない。自動車工場等では自動化されている単純な並べ替え・方向転換・箱詰め等が食品工場では人手で行われている。ロボット導入を検討したいが食品用のハンド等開発の必要が有る。
食品工場では運搬に問題が多く残る。運搬は非付加価値仕事である。山積み山崩し、作業分断による仕掛在庫発生、運搬距離の解消が必要で自動搬送車の導入も考えるべきだ。台車が多い工場は非付加価値仕事の運搬に労力が浪費されている。自動車が発達しても道路が整備されなければ効率的な交通は無い。工場も同様である。効率的な通路、効率的な工場レイアウト、段差のない工場など運搬が少なく運搬し易い食品工場を作る必要が有る。
食品製造業平均給与を製造業平均にするには生産性を2倍にしなければならない。これは現実の経済法則である。その為には食品工場に蔓延する事なかれ主義を排し、問題を顕在化する仕組みと意識作りを行わなければならない。隠れたムダを排除して生産性を向上する。この様にムダの無い生産で改善を進め生産性を製造業平均の75%まで向上させる。内訳は2年間で現在の2割生産性向上させる。その後年率2%程で10年継続すれば製造業の上昇分を加味しても15%くらいは行けるはずだ。75%の生産性向上は可能なはずである。
加えてロボット等の活用による自動化を促進し、運搬の効率化を図り、スケジューラーの活用による効率的なスケジュールの作成等により25%程度生産性を向上させる。こうして食品製造業の生産性を製造業の平均の100%まで向上させる。このように10年後には食品製造業の生産性を現在の2倍に倍増することによって、製造業の平均の生産性に到達させ平均給与も倍増させたいと考えている。
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15th International Cereal and Bread Congress の参加報告
 Istanbul, Turkey April 18-21, 2016

神戸女子大学
瀬口 正晴 氏
 参加者は500名、半数はトルコ人で、さらにその半数はイスタンブールの大学生であった。口頭発表は145題、ポスター発表が208題であった。口頭発表は43セクションに別れ、3日間にわたり発表が行われた。353題の発表の中で印象深かったのはGluten-Freeの研究発表が多かったこと(21題)であった。以下紹介する。

1) Abstracts p-53;Development of Bread from Underutilized Gluten-Free Cereals Using Sourdough Technology (キビ、アワ、ヒエとサワードウを用いたグルテンフリーパンの研究) Jemia Adepehin  Nigeria
 Nigeriaで多くできるキビ、アワ、ヒエでパンを焼く。発酵はイースト、乳酸菌で行う。赤っぽいパン。

2) p-54;Optimization of Gluten-Free Bread Formulation Containing Leblebi Flour and Evaluation of Dough and Bread Properties (Leblebi flourと hydroxy propyl methyl cellulose を用いたグルテンフリーパンの研究)Gokcen Kahraman Turkey
 Lebleibiとはトルコの伝統的なスナック菓子。Leblebi flour=ひよこ豆の一種でトルコの伝統食材。ひよこ豆の粉はタンパク質、繊維質が多い。

3) p-115;Production of Gluten-Free Foods by Peptidases from Different Sources(ペプチダーゼを用いたグルテンフリーパンの研究) Peter Koehler Germany
 Aspergillus niger のGluten specific のペプチダーゼでグルテンを分解。Elisa法の紹介。ビールにも応用。

4) p-116;Development of Improved Reference Materials for Food Allergen and Gluten Analysis(食品アレルゲンとグルテン分析について)Sandor Tomoskozi Hungary
 いろいろな方法(immunochemical based solution, PCR, MSを分離する方法)による標的タンパク質の定量、定性分析紹介。

5)p-117;Improving Quality of Gluten-Free Bread by Addition of Protein Isolate from Rice Bran(米ふすま中のタンパク質によるグルテンフリーパンの研究)Suphsat Phongthai Thailand

6) p-118;Gluten Free Instant Rice with Slower Digestibility by Modifying Process Conditions (消化性をおとしたグルテンフリーインスタント米の研究)Rachel Hsu Taiwan
 グルテンフリー食品に米を使用。しかし米はGIが高いので、低水分量で低温、短時間クッキングし消化の悪い米を調製。

7) p-119;Durum Wheat vs Gluten Free Pasta: Sensory and Nutritional Properties(デューラム小麦とグルテンフリーパスタの比較研究)Joel Abecassic France
 地中海地方はパスタが最も典型的な食品。米粉、擬似穀物、まめ科植物を用いてグルテンフリーパスタと小麦パスタとの比較研究。

8) p−120;Gluten-Free Sourdough Bread Properties and Dough Rheology(サワードウグルテンフリーパンの研究) Sebnem Tavman Turkey
 サワードウはそば粉+乳酸菌で調製し、粘弾性はキノア粉添加で調製。

9) p-121;Carob Enriched Buckwheat Bread - A New Alternative in the Gluten-Free Diet(carob=イナゴマメとそば粉によるグルテンフリーパンの研究)Peter Raspor Slovenia
 carob flour(イナゴマメ粉)で一部そば粉を代用。Carob粉はpHをかえる。体積増加、フレーバー上昇に効果ある。

10) p-122;Influence of Quinoa Flour on Rheological Properties of Gluten Free Cake Batter and Cake Properties(キノア粉によるグルテンフリーケーキの研究)Seher Kumcuoglu Turkish
 アマランス、キノア、そば粉の比率かえたケーキ類。栄養価の高いケーキ。

11) p-150;Production of Par-Baked Gluten-Free Cakes Including Rice, Corn and Chestnut Flours(米、コーン、クリ粉のグルテンフリーケーキの研究)Onder Yildiz Turkey

12) p-157;Use of Rheum Ribes as a Functional Component Gluten-Free Biscuit Production(米粉、ポテト粉に食用ダイオウ入りグルテンフリービスケットの研究)Hafsa Dogan Turkey
 Rheum Ribes(ダイオウリブス)は、ビタミンC、鉄、亜鉛、繊維質が多い。

13) p-179;Assessment of Thermo- Rheological Properties by Using Chickpea Flour and Brown Rice Flour as an Ingredient of Straight-Dough Gluten Free Bread(ひよこ豆、黒米を用いたグルテンフリーパンの研究)Damla Barisik Turkey
 ひよこ豆はパン膨化に関係あり、黒米は繊維、ミネラル、タンパク質が多い。

14) p-191;Production of Par-Baked Gluten-Free Cakes including Rice, Corn and Chestnut Flours(米粉、コーン、栗粉の入ったグルテンフリーケーキの研究)Onder Yildiz Turkey

15) p-192;New Processing Techniques to Improve Quality of Gluten-Free Products(新技術改良グルテンフリーパンの研究)
Nihal Simsekli Turkey
 酵素でタンパク質の機能をかえる。乳酸菌でサワードウ中のフレーバー、テクスチュアを変えてグルテンフリーの粉を作る。ミリング、粒径サイズ変えてグルテンフリー粉を作る。

16) p-193;Production of Regular and Gluten-free Stick Rusk Enriched with Dried Fruits(ドライフレーツ入りグルテンフリーラスクの研究)Serpil Ozturk Turkey
 イチゴ、アプリコット、ブルーベリー粉をグルテンフリー粉に入れる。

17) p-204;Using Flaxseed Gel to Improve Textural and Structural Quality of Gluten Free Eriste(亜麻種子を使ったグルテンフリーエリステの研究)Asuman Cevik Turkey
 ひよこ豆、コーン、米粉、亜麻の種を用いたもの。

18) p-262;Production of Bread for Celiac Sufferers Using of Taro Tuber (Colocasia esculenta L. Schott)(タロイモを用いたグルテンフリーパンの研究)Cansu Pehlivan Turkey
 タロイモはミネラル、タンパク質、繊維, ゴムのりが多い食材。

19) p-263 ;Mineral in Grain Gluten-Free Products(グルテンフリー食品中のミネラルの研究)Iga Rybicka Poland
 Popularity of gluten-free (GF) diet is observed all around the world. The market value of products with a Crossed Grain symbol is estimated for 3.3 bln US$. The significance of GF products in human diet has relevantly increased. Nowadays, they are consumed not only by patients with coeliac disease. Duhring’s disease, intolerance or allergy to gluten, but also in other diseases (e.g. autism) or by healthy individuals who want to eat differently. (世界中でグルテンフリー食品は3,300億円のマーケット。セリアック病でないひともグルテンフリー食品を消費する。)

 Table 1. Gluten-free products rich and poor in analyzed minerals
  MINERAL PRODUCT RICH IN
   Ca    amaranth
   K    CHICORY COFFEE(チコリコーヒー)
   Mg    amaranth popping
        amaranth flour
   Na    breadsticks with salt(グリシーニ)
   Cu    acorn flour(ドングリ)
        chickpea flour(ひよこ豆)
        millet flakes(きび)
   Fe    chicory coffee
        teff flour(テフ)
        oat musli(オートムギ)
   Mn    bread with buckwheat
        teff flour
        buckwheat flour
        amaranth popping
   Zn    oat flakes
        oat flour
        buckwheat goats

20) p-295;Instrumental Methods of Texture Measurements in Gluten-Free Products(米、コーン使ってグルテンフリーパンの新鮮さ、ファリノメーター、レオメーター、DSC, XRDでの研究)
Nihal Simsekli  Turkey

21) p-304;Effects of Corn Starch and Water Addition Levels on the Quality Characteristics and Estimated Values of Gluten-Free Rice Bread(米粉、コーン、ポテト、そばのグルテンフリーパンのGlycemic Index研究)Ash Cihan Turkey

 私はBread Making Technology-1の中、
題名;“(120 ℃) rice flour and deteriorated breadmaking properties baked with these rice flour/fresh gluten flour"
要約;Rice flour was stored at 15˚C / 9 months, at 35˚C/ 14 days, or dry-heated at 120˚C/ 20 min. The breadmaking properties baked with this rice flour/fresh gluten flour deteriorated. In addition, the rice flour was mixed with oil in water vigorously, and oil-binding ability was measured. Every rice flour subjected to storage, or dry-heated at 120˚C showed higher hydrophobicity, owing to changes in proteins. Then, proteins in the stored rice flour were excluded with NaOH solution, and bread baked with the deproteinized rice flour showed the same breadmaking properties as unstored rice flour/fresh gluten flour. The viscoelasticity of wheat glutenin fraction decreased after the addition of dry-heated rice flour in a mixograph profile. DDD staining increased Lab in color meter, which suggested an increase of SH groups in rice protein. Increase of SH groups caused a reduction in wheat gluten protein resulting in a deterioration of rice bread quality. 
で、スライド17枚使い口頭発表した。米粉貯蔵中の変化とそのための米粉パンへの影響を調べた研究であった。座長は南アフリカ、プレトリア大学のテーラー教授だった。

以上、ご報告いたしました。
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日本穀物科学研究会は法人化をめざすか
神戸学院大学名誉教授 
合田 清 氏
 本会は昨年、創立40周年を迎え、その記念事業が執り行われたことは記憶に新しいところである。ところで、40年もの歴史を持つ本会が組織として任意団体のままで良いのか、あるいは法人化の方へ向かうのが良いのか、なかなか悩ましいところである。
 そこで、学協会の「法人化」についての問題点、現況を眺めてみたい。
 日本の学会の多くは法人格を持たない、いわゆる任意団体が多く、従来の制度では法人格を獲得するのはかなり難しいため、実現の可能性が低いと考えられてきた。ところが、平成20年12月「公益法人制度改革関連3法」が施行され、社団法人や公益法人が従前より設立しやすくなった。これまで任意団体であった多くの学術団体が法人化への動きを強めている。
[ 法人化のメリット ]
(1)社会的信用力の獲得
 新たな法律に定められた法人として運用することで、社会的な信用度が高まる。
(2)責任の所在の明確化
 法人化で学会名で法律行為(契約、雇用、売買、貸借)が行えるようになる。任意団体では対外的な契約(銀行口座の開設など)は学会会長の個人名で行わねばならないが、責任が会長から理事に分散し、学会が行う行為や構成員の責任・義務が法的に明確な状態で運用されるようになる。
(3)透明度の確保
 透明性の高い会計処理を行うことで、税務リスクを回避できる。
[ 法人化のデメリット ]
(1)運営に費用がかかる
事務処理が少々煩雑になるため事務委託費用が増す。税申告の依頼などで税理士費用も必要になる。
(2)法律の規制が多くなる
理事選挙、総会での議決の条件など、これまでの学会運営の方法を引き継げなくなる。
学会が取り得る法人形態について
NPO法人、公益社団法人、一般社団法人などがある。NPO法人はあまり学会に適さない制約がある。公益社団法人は何もない状態からは設立できず、一般社団法人を設立してから行政庁の認定を受けて移行する必要がある。従って、法人化の選択肢には入らない。一般社団法人は登記のみの簡単な手続きで設立でき、行政の監督も受けないので、学会のような形態に向く制度として広く利用され始めている。
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日本穀物科学研究会

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