163回例会|日本穀物科学研究会ホームページ

日本穀物科学研究会
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<第162回例会>
「オリエンタル酵母工業株式会社 大阪工場 工場見学」
 日時 2015年9月4日(金) 14:00〜16:30
 場所 オリエンタル酵母工業株式会社
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「オリエンタル酵母工業株式会社 大阪工場」
   イースト製造工程の説明と製造ライン見学
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パンの微生物的腐敗とイーストによる日持向上
オリエンタル酵母工業株式会社
食品事業本部 研究開発部 食品研究所 古川周平 氏
 パンの衛生管理において、カビ対策や細菌(ロープ菌)対策で製造環境の改善やpH調整剤等の活用が講じられます。本会では、パンの危害微生物やその増殖を抑制するためにイーストが発酵中に作る発酵産物の利用いついて解説します。
 パンの腐敗には主にカビと細菌によるものがあります。細菌としてはBacillus属によるもので焼成後のパンに付着または耐熱性芽胞が焼成時に生残し、パンクラムにロープ現象(糸引き)の腐敗を起こすことが知られています。カビによる腐敗はAspergillus属の黒色斑点やPenicillium属の緑色斑点の発生が圧倒的に多いようです。カビの生育環境は気温20℃〜30℃、水分活性(Aw)0.85〜0.99、酸素があり栄養分が豊富なことです。夏場に気温が上昇すると、パンはカビが非常に生えやすい環境となります。
 パンの日持向上に関わる成分は有機酸やエタノール、ペプチド類など幅広く知られています。エタノールは低分子の揮発性物質でカビに非常に効果があります。イーストは発酵により糖からエタノールを生成します。生地中で生成したエタノールの多くは焼成中に揮発しますが一部がパン中に残存します。このエタノールがパンの日持に効果を発揮します。一方で、イーストは発酵中に糖を分解してエネルギーを生成する過程でコハク酸、酢酸、乳酸、リンゴ酸など様々な有機酸を生成します。有機酸は解離型分子があり、非解離型の有機酸がカビに対して増殖抑制効果を示します。
 有機酸やエタノールなどの成分を発酵過程で通常よりも多く作ることができるイーストがあります。これが、日持向上効果を有するイーストです。発酵力や耐糖性など優れた製パン特性を持たせることで、従来のイーストを置き換えるだけでパンのカビ発生を遅らせることができます。香芳プラスイーストは低糖から中糖のアイテムで使用できる食パン用イーストですっきりとしたパン風味が特徴です。NFイーストは菓子パン用で食パン、テーブルロールからリッチな配合の生地まで幅広く使用することができます。本発表では、日持効果に影響する製パン条件はpH調整剤との併用についても報告いたします。
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 オリエンタル酵母工業株式会社 大阪工場 様
 ご協力ありがとうございました。

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